職場にて、仕事が終わり着替え中。
同僚のTさんが突然言った。
T「歩さんって霊感あります?見えないものが見えるとか」
ぼく「いや、無いですけど」
渉「…」
T「なんかー、友達がそういうの見える人で『そこにいる』とか言ってきて怖いんですよねー」
ぼく「はあ、そうすか。僕はそういうの全くわかんないです。お疲れさまでした」
T「お疲れさまですー」
帰り道。
ぼく「正直に言おう。俺はすげえビビった」
渉「…大丈夫俺もだ」
渉は幽霊ではない。
僕は嘘は付いてない。
そもそもはっきり見えるときの方が少ないしな、うん…。
霊感という言葉で思い出したのだが、
最近右手にレイノー現象とやらに似た症状が出てくる。
ググると詳しい説明が出てくるが、
原因はストレスとも冷えとも言われているがはっきりはしていないらしい。
ある夜、コンビニからの帰り道、右手に痺れを感じてポケットから手を出すと、指先が蝋人形みたいな色になっていた。
榎本「あーまた…最近急に出るようになったんだよな…」
渉「大丈夫なのかそれ」
榎本「ほっときゃそのうち治る」
渉「ふーん…」
再びポケットに手を入れる。
指先がビリビリして不快だがそれだけだ。
しばらく我慢すれば元に戻る。
渉「…ちょっと見せて」
ぼく「え?いいけど…」
渉さんに向かって手を差し出してみる。
これ、端から見たらちょっと怪しい光景だよな…。
やっぱり引っ込めようか、と思っていると、
不意に渉さんがそっと手を握ってきた。
え?おいちょっと、渉さん?
ツッコミ入れようかと思ったけどそういう雰囲気でもない。
薄く見える(気がする)渉さんの手を透かして自分の手を見ていた。
見ている数秒の間に、指先が血色を取り戻した。
いつもは数分は蒼白のままなのだ。
こんなに早く治ったのは初めてだ。
渉さんは手を離して、向こうを向いた。
ぼく「あの、渉さん」
渉「…」
ぼく「えっと…ちょっとそういうのキモいですわ…」
渉「だっ…!!?うるせー!!俺だって別に好きでやってるわけじゃねーし!!ばーか!!二度とやらんわ!!」
ちなみに、二度とやらないと言ったが渉さんだが今日の朝もやってくれた。
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