京「思ったんだけど」
仕事の合間、牛丼を貪っていると、京さんが僕を見ながら言った。
京「歩、その体の割によく食うよね」
いつの間にか名前呼び捨てが徐々に浸透してきているが、
言っても直らないのでもう諦めた。
むしろもうマスターって言われると逆にびっくりするので名前で統一していただきたい。
渉「今そんなに食ったところで成長期終わってるのにな」
ぐさりと胸に突き刺さる言葉。
分かっている。分かっているのだ。
仕事場の棚の一番上の段には手が届かないこと。
いつも買う服のサイズはMだけど、本当はSでいいこと。
ぼく(渉、お前それ、言葉はときにナイフになるんだぞ)
覚えとけ、と睨みつけたが、渉は面白そうに笑っているだけだ。
こいつ、自分の方が身長が高いからって調子に乗りやがって。
またフィギュアみたいな大きさにすんぞお前。
京「希望を捨てるなよ。まだ成長する可能性は0,01%ぐらいはあるかも知れないだろ」
京さん、それはそれで結構来るものがあります。
渉「細かいことはいいんだよ」
細かい、という言葉に敏感に体が反応してしまう。
こいつ絶対わざとだろ。
渉「俺は、お前は今のままでいいと思うよ。ていうか今のままがいい」
頭を撫でられた。
昨日首に噛みつきやがってから、渉が何度もちょっかいを出してくる。
ぼく(あのな、教えてやろうか、そういうことをされて喜ぶのは、頭ん中お花畑の女子だけだぞ)
渉「気にするなよ」
こいつちょいちょい人の話聞いてないんだよな。
あのね、ひとつ、二人のために訂正してあげるけどね、
俺別に大きくなりたくて飯食ってる訳じゃないからね。
同時に俺を見て、驚いたような顔をした。
こいつら。
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